信頼性向上への取組み

第17回原子力安全信頼会議

 2019年10月29日,当社は原子力安全信頼会議を開催しました。

議事概要

1.日時 2019年10月29日(火)12:30~15:05

2.場所 志賀原子力発電所
 
3.出席者   【委員】石田委員長,大場委員,中村委員,能木場委員,
            菱沼委員,山口委員             (計6名)
        【当社】金井社長,石黒副社長,大西常務,米原原子力本部副本部長,
            古谷志賀原子力発電所長,小田土木部長,木村地域社会部長,
            上野原子力部長,谷内地域広報部長,北川原子力安全推進部長
                                  (計10名)

4.議事要旨

(1)議事概要

 今回は,「志賀原子力発電所新規制基準適合性確認審査(敷地内断層)の状況について」を説明し,
 質疑,応答を交えてご意見を伺いました。
 また,志賀原子力発電所2号機原子炉建屋内を視察していただきました。

(2)委員からの主な意見

<志賀原子力発電所新規制基準適合性確認審査(敷地内断層)の状況について>

・断層の審査については,決定的なデータが調査により出るか出ないかで結論が出てしまうような印象を
   受けるが,科学的なアプローチとは言えないのではないか。多種多様なデータを総合的に観て判断する
   ようなアプローチを取るべきであり,ATENA(原子力エネルギー協議会)のような組織を通じて,
   審査のあり方や判断基準について問題提起していただきたい。

<視察(志賀原子力発電所2号機原子炉建屋内)>

・通常は視察することができない原子炉格納容器の内部など,安全上重要な機器や作業の現場を直に
   確認することができた。皆さんが,この場所で作業されるのだということを,身をもって感じられ,
   本会議の委員として大変参考になった。

・視察した2号機は,BWR(沸騰水型軽水炉)の中でも最新式のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)で
 あり,安全性・運転性の向上等が図られた設計になっている。本日は,無理を言って予定外の設備を
 含め,実際に自分の足で歩いて確認させていただき,大変勉強になった。また,安全に対して良く整備
 されている様子に感心した。

・本日視察させていただいたが,数多くの装置,機器があり,それらを的確に操作・運転することは,容易
  ならざる事であると改めて感じた。発電所全体で協力して安全にオペレートする力を,今後とも保持し,
  更にレベルアップする努力を続けてもらいたい。

<まとめ>

・北陸電力では,関西電力の金品受領のような問題がなかったことは理解したが,毎年実施している全社員を
 対象としたコンプライアンスアンケートを今後とも継続し, 広く情報を拾い上げるようにしていただきたい。

・北陸電力では,工事の発注は原則競争入札とのことだが,不測の事態への対応等から地元業者にある程度
 配慮することは続けていっても良いのではないか。難しいのは工事費の設定であり,コスト削減は重要で
 あるが,それにより工事品質が落ちることの ないよう十分に検討していただきたい。

・コンプライアンスに関しては,不適切な事案が発生したこと自体も問題だが,その後の内部調査,外部への
 公表をいかに実施するかが重要である。問題発生時の対応の手順や基準を,社内であらかじめ決めておく
 必要があると思う。

・全世界的な取り組みであるSDGs(持続可能な開発目標)の実現のためには,温室効果ガスの大幅削減が
 必要である。原子力発電は発電時にCO2を排出しないカーボンフリー電源であり,国のエネルギー基本計画
 でもベースロード電源と位置づけられている。その重要性を社会に理解していただくとともに,安全性が確認
 された原子力発電所の早期稼働に繋げていってもらいたい。

・最近の台風19号の報道で印象的だったのは,東日本大震災の津波を教訓に堤防を整備したが,それが雨水や
 沢水をせき止めてしまい浸水被害が発生したというものであった。細分化された一つの要素に捉われるのでは
 なく,大きな観点で総合的に判断し方向づけていくことの重要性を,改めて感じた次第である。

・北陸電力では,よりよい組織になることを目的に様々な施策に取り組んでいるが,それらの施策に対し,
 社員がやらされ感を持っているのではないか。業務を円滑に進める,組織力を発揮するといった,それらの
 施策の目的や必要性を各自が理解し,能動的に取り組めるようなもう一歩踏み込んだ仕組みが必要だと感じる。

・発電所員は,マニュアルに詳しく,まじめで優秀で忠実にそれを実行していると思う。しかし,マニュアルが
 できた背景や理由までの理解はどこまでできているのであろうか。マニュアルの想定を超える事象では,
 往々にしてマニュアルを破っての対応が求められる。しかし,そのような際にも,マニュアルに縛られ,
 マニュアル通りに実施しては元も子もなく,特に結果が悪かった時は社会から厳しい批判を受けるだろう。     
   もっと思考力を養い,何故これをしなくてはいけないのかという事を理解して自主的に対応できる組織に
 なれば,より強くて素晴らしい発電所になると思う。

・志賀原子力発電所は長期間停止しているが,社員全体が必ず稼働するという強い信念を持ち,総合的な力を
 発揮できるよう努力していただきたい。そのためにも,皆さんの志気,モラールが維持向上できるような
 工夫をお願いしたい。



会議の様子1

会議の様子2

会議の様子3

視察の様子