信頼性向上への取組み

第21回原子力安全信頼会議

 2022年5月23日,当社は原子力安全信頼会議を開催しました。

議事概要

1.日 時 2022年5月23日(月)13:00~15:00

2.場 所 当社本店ビル

3.出席者 【委員】石田委員長,大場委員,庄田委員,髙松委員,中村委員,
          能木場委員,山口委員        (計7名)
      【当社】松田社長,石黒副社長,塩谷常務,小田常務,
          木村地域社会部長,福村原子力部長,藤田土木建築部長,
          放生志賀原子力発電所長,古谷原子力本部専門部長,
          谷内環境・地域共創部長,村杉品質管理・原子力安全推進部長
                            (計11名)
4.議事要旨

(1)議事概要

  今回は,「志賀原子力発電所 新規制基準適合性確認審査(地震津波関係)の状況」および「志賀原子力
 発電所 パフォーマンス改善活動の取り組み状況」を説明し,質疑応答を交えてご意見を伺いました。

(2)委員からの主な意見

<志賀原子力発電所 新規制基準適合性確認審査(地震津波関係)の状況>

 ・敷地内断層の審査状況の説明を聞いて,断層の活動性の調査において,鉱物脈法は説明性が高く,また,
  一般的に有効な手法であることが分かった。是非,このような技術的な知見や考え方,審査経験を整理し,
  共有していただきたい。
   ※ 岩盤中の断層を横断する鉱物脈について,断層活動による影響の有無やその生成年代を確認すること
    により,断層の活動年代を推定する方法

 ・もし調査の過程で都合の悪いデータを見つけた時に担当者が言い出せないようなことがあれば,2007年に
  発覚した臨界事故隠しと同じことになる。既に様々な取り組みをしていることは理解しているが,取り組
  みをしていても,直面した際に適切な行動が取れないことは少なくない。自分たちの任務は,リスクや危
  険を見つけて対処することであり,それが地域やプラントを守ることにつながるということを強く意識し
  た組織文化・風土づくりのために,更に努めていただきたい。

<志賀原子力発電所 パフォーマンス改善活動の取り組み状況>

 ・パフォーマンスを上げるためには発電所員のモチベーションを向上させることが重要である。そのために
  は所員に自分の仕事が,発電所や会社,更に脱炭素やエネルギーの安定供給など社会に対して重要な貢献
  を果たしていると理解してもらうところが出発点だと思う。特に,若い人には自身のライフステージ,
  キャリアステージの中で,今やっている仕事がどの段階にあって,どのような意味があるのかということ
  をよく理解してもらう必要があると思う。

 ・巡視点検等で見つけた設備の異常兆候から速やかにその原因を特定して対処できた事例の紹介があったが,
  異常兆候に早めに気付くことが巡視点検のパフォーマンス向上につながることから,どのようなプロセス
  で異常兆候を早く見つけられるのかについて今一歩掘り下げて考えていただければ,質の高いパフォーマ
  ンス改善活動につなげることができると思う。

 ・異常兆候の早期発見は重要だが,全てをより早期に発見しようとすることには限界がある。何もかも業務
  に組み込もうとするのではなく,適切なレベル分けをして対応してほしい。他方,自らの気づきや工夫で
  異常兆候を発見した経験は,大きな達成感をもたらすだけでなく,その後,より異常兆候の早期発見をし
  ようという意欲を生みだし好循環となる。なお,気付きや工夫を実行に移すためには,業務に余裕のある
  環境を作ることが重要である。

 ・業務の仕組みを常に見直し,強化・変更することはたいへん良いことである。ただし,その際には,新た
  な問題や間違い(ヒューマン・エラーを含む)を起こさないかという視点での検討を十分にする必要があ
  る。

 ・発電所の巡視点検において,巡視員が自発的に設備の構造等を調べた上で細部まで点検したことで設備の
  故障を未然に防げたとのことであったが,その知見や方法をマニュアルに組み込む等,誰でも異常箇所を
  簡単に発見できるようにすることが大事である。

 ・発電所が長期にわたり停止している中で,発電所員のモチベーションを下げないよう,管理職の方々が日
  頃から取り組んでいることに対して敬意を表する。自らの職場や業務に対して誇りに思うことが自発的な
  行動となり,設備の故障を未然に防ぐことにもつながるので,若手だけでなくベテラン社員も日頃から向
  上心を持って業務に取り組んでいただきたい。

<全般>

 ・昨今の社会情勢を踏まえて,地元の方々に不安を抱かれないよう,コロナ禍で難しいところではあるかも
  しれないが,しっかりと意見交換を行っていただきたい。

 ・北陸電力に既に整備されている内部通報制度(通報窓口)は,会社あるいは社会の安全につながっていく
  ものであることから,それが更に利用されるよう,社員の皆さんに制度の目的を正しく理解してもらうこ
  とが重要である。

 ・発電所の再稼働に向けては,地元の方々の理解促進,安全・安心の向上といった観点から,地元対応がよ
  り一層重要なものになると思う。このため,2007年に発覚した臨界事故隠しをきっかけに志賀町に設置し
  た原子力本部および地域社会部においては,その設置目的を今後とも風化させないよう体制を適切に維持
  し,地元対応をしっかりやってほしい。

 ・地域の方々との対話活動では,一方的に北陸電力から伝えたいことを話しているのではないか。参加者か
  ら知りたいこと,分からないことを質問してもらい,北陸電力がそれに対して答えるという形もある。少
  なくとも教育現場では,後者の方が参加者の知識が定着し理解が深まるというデータがある。参考にして
  いただきたい。

 ・新規制基準適合のための工事等では,各地の発電所で労働災害が起きている。そういった中でも,労働災
  害の発生率が低い会社では,協力会社と良好な関係を構築するとともに,隅々まで安全教育を浸透させる
  ことで安全文化を根付かせており,ここが重要なポイントであるので,十分配慮されたい。

 ・本日の委員からの意見・指摘は,これからの志賀原子力発電所の安全あるいは信頼にとって極めて大事な
  ことである。是非,北陸電力におかれては,本日の議論を踏まえ,適切に対応を進めて行っていただきた
  い。
  また,安全かつ信頼性のある原子力発電が,我が国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり,しっかり
  対応していただきたい。

(3)当社の受け止め

  志賀1号機の臨界事故隠しを決して忘れることなく,経営の根幹に据え,覚悟を持って今後も事業運営に
 当たっていく。そのため,年数が経つことで風化することがないよう今一度このことを真摯に反省し,隠さ
 ない組織文化・風土を作ることおよび隠すことができない制度を作ることの二つについてしっかり対応して
 いく。
  また,それらを確実に行っていくため,原子力発電所の運営には,地元との信頼関係が大前提と考えてい
 る。組織運営上,人の新陳代謝も必要であるが,適切な体制を維持し,地元における活動をしっかりやって
 いく。
  さらに,新規制基準の適合性確認審査にしっかりと対応していくとともに,その後の再稼働に向けて,モ
 チベーション向上を含めた発電所のパフォーマンス改善にも積極的に取り組んでいく。
  今後とも,委員の方々から頂いた貴重なご意見を事業運営に反映して,志賀原子力発電所の一日でも早い
 再稼働に向けて最大限取り組むとともに,地域の皆さまから喜んでいただけるような発電所を目指していく。



会議の様子1

会議の様子2

会議の様子3

会議の様子4